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臨床腫瘍学

講座・分野紹介

日本人の2~3人に1人が癌に羅患・死亡する時代、腫瘍に関する研究には社会的な要求が多く、また発見された事実が臨床に直結し、さらに多くの人の命を救う手段として使われるという現実的なメリットがあります。産婦人科の専門分野を細かく分類すると#1婦人科腫瘍、#2周産期、#3生殖・内分泌、#4女性のヘルスケアという四分野になります。いずれの分野にも魅力的な未知・未確定な研究対象が多数あります。岩手医科大学産婦人科学教室の婦人科腫瘍分野の大学院では実際の症例から事実を集積することに主眼が置かれており、以下に示すような新しい分野の研究に着手しています。大学院生に求められることは、まず自分の研究分野を決める努力をすることです。研究主題を選択する際にはこうした自らの希望に加え指導教官の助言を受けます。研究主題には産婦人科独自の分野と基礎医学講座中心の分野があります。

主な研究内容

現在遂行している主な研究内容は婦人科腫瘍部門では、

#1腺管分離法とmicroRNA発現解析による子宮内膜癌の分子病理学的検討

#2oncolytic HSVと免疫療法を用いた新規婦人科癌治療の基礎的検討

#3抗γH2AX抗体を用いたDNA損傷の観察から卵巣明細胞腺癌と子宮内膜癌培養細胞に対する抗腫瘍薬の作用機序の検討

#4次世代シークエンサーを用いた卵巣癌における化学療法感受性規程因子の探索

#5卵巣癌・子宮頚部腺癌に対するmolecular biology, in vitro/ in vivo研究  などがあります。

ここに#2oncolytic HSVと免疫療法を用いた新規婦人科癌治療の基礎的検討の概要を示します。この治療の原理は次のとおりです。「坦癌マウスに腫瘍溶解性ヘルペスウイルスを静脈投与する。腫瘍細胞に感染したウイルスは、腫瘍内で増殖し腫瘍を溶解させる。さらに、ウイルスは感染した腫瘍栄養血管上皮細胞をアポトーシスに導く。その結果、ウイルスに対する免疫反応と腫瘍に対する免疫反応が引き起こされる。さらにDNAワクチンによって抗腫瘍免疫が増幅され、抗腫瘍効果をもたらす。(図参照)」

臨床腫瘍学

さらに、教室全体として力を入れている研究内容は、実際の臨床の場から得られる事実に基づくグローバルでの「臨床治験」、「臨床試験」です。これは新規の薬剤や併用方法、あるいは数々の治療法を組み合わせる集学的治療の有効性・安全性をがん患者さんの協力をいただいて調査することです。この努力によってより安全で有効な癌治療法が科学的に確立されていきます。

疑問に思うこと、相談したいことなど、大学院教育についての相談にはいつでも対応します。ぜひ産婦人科学教室教授室(内線2341)までご連絡ください。