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内科学講座(脳神経内科・老年科分野)

講座・分野紹介

ヒトの神経系は、大脳など中枢神経と、骨格筋、内臓、皮膚に至る運動および感覚、さらに自律神経をも含めた末梢神経から構成されます。ヒトがヒトとして生命活動を営むことに必要な全ての機能が神経系による制御を受けています。神経学は神経系が司る意識や情緒、認知機能、運動、感覚、植物機能に関する解剖学、生理学、生化学、薬理学を網羅した総合的学問であり、これらが侵される病態を対象とする全人的医学なのです。
超高齢化社会の渦中にある現代日本で、神経学に対するニーズは増加の一途を辿っています。脳卒中やアルツハイマー病は介護を要する疾患の常に上位に位置する疾患であり、パーキンソン病と類縁疾患、多発性硬化症、筋炎や末梢神経炎などの神経難病にも神経学の担い手が求められています。診断および治療の発展もまた日進月歩です。かつて“治らない病気”の代表とされてきた神経疾患は“治せる病気”へと大きく変貌を遂げました。岩手の神経学もこうした時代の流れにあって、当科はより高度な神経学を提供するべく、その担い手としての研究者や専門医を育て、全ての患者に最新の神経学を届けています。
脳神経内科・老年科には対象疾患により5つの研究グループがあり、脳卒中、パーキンソン、認知症、神経免疫、頭痛に分かれています。大学院に進む皆さんは関心をもっている各グループに所属して、指導担当者とのマンツーマン体制で学位研究を行い、神経学あるいは神経科学に勤しむことになります。各グループは横のつながりもあって、研究テーマを共有しながら研究を進めることもできるフレキシブルな研究体制を取っています

主な研究内容

当分野では神経学と神経科学の領域を主要研究テーマとします。神経疾患の病態理解を追求し新たな診療技術、新たな治療へと結びつけるために、基礎的あるいは臨床的な研究を行っています。

◇臨床神経症候学 ◇神経病理学 ◇神経生理学 ◇神経薬理学と神経治療学
◇アルツハイマー病をはじめとする認知症性疾患の疫学研究と予防医学
◇脳卒中の超急性期診断学および治療学
◇脳卒中の抗血栓療法の開発と予防医学
◇脳卒中後遺症の機能予後に関するリハビリテーション医学
◇パーキンソン病の病態と基礎医学
◇パーキンン病および運動障害を主徴とする神経変性疾患の臨床神経学
◇多発性硬化症や視神経脊髄炎スペクトラム疾患など神経免疫疾患の臨床研究
◇片頭痛の疫学および臨床研究
◇神経疾患を対象とする新規治療薬を用いた介入研究(治験)

学生へのメッセージ

ここ数年で日本は神経学発展の鍵となるいくつものノーベル医学賞があり、山中伸弥先生のiPS細胞、大隅良典先生のオートファジー、本庶佑先生の免疫チェックポイントなどはこれまで不治とされてきた神経疾患の治療開発の契機となっています。既に核酸医学を用いた遺伝子治療は神経難病に導入されており、神経学は新たな段階に入りました。神経科学の発展は研究者の情熱で加速します。私たちと一緒に神経学の担い手になるべく、皆さんも神経科学の門を叩いてみませんか。