内科学講座（腎・高血圧内科分野）

講座・分野紹介

腎臓は常に全身諸臓器と互いに調和を保ちながら、生体内環境の恒常性維持を司っており、その調和が乱れると互いに影響しながら種々の病態が形成されます。私たちの研究と診療の対象は腎臓による生体の恒常性維持機構の破綻をもたらす全ての原因と結果です。
主な研究対象はいわゆる慢性腎臓病の原因となるあらゆる一次性・二次性腎疾患、急性腎障害、慢性腎不全、透析療法、二次性・難治性高血圧、水・電解質・酸塩基平衡異常などです。
大学院での教育は、臨床医学の幅広い学識とリサーチマインドに富み、腎臓・高血圧性疾患や腎不全の病態解明、高度診療及び予防に還元し得る研究を行うことのできる自立したphysician scientistを養成することが目標です。

主な研究内容

◇ リアルワールドデータを用いた生活習慣病/慢性腎臓病/心血管病発症進展の要因ならびにアウトカムの臨床疫学的解析

◇ 高血圧の臓器障害と降圧療法の残余リスクの解析

◇ 透析医療の質と患者アウトカムの検証

◇ ゲノムワイド関連解析(GWAS)に基づく腎疾患リスクならびに治療標的の同定

◇ 腎不全における生体内レドックス制御の分子機序

◇ 腎不全における全身多臓器連関の病態

◇ 腎疾患重症化予防のための多因子治療の開発　など

学生へのメッセージ

臨床医は生涯にわたり、最新の知見に基づく的確な病態把握と診断、エビデンスの適切な解釈と適用、そして患者心理や社会経済的背景に配慮した個別に最善の治療選択を行う能力を求められます。若い時期に研究をする意義は、単に科学的成果の追究ばかりでなく、医師としての自己研鑽能力、複雑な課題に対する高度の思考力・判断力と問題解決能力を養うことにあります。医学博士の学位は、診療の経験に加えこのような修練を積んでいることの一つの証です。

私たちは臨床的な仮説に立脚した基礎的研究や地域住民・患者集団の丁寧な観察と自らの診療実践の検証を通じて、腎臓・高血圧性疾患や腎不全の診療水準と疾病対策の向上に貢献するエビデンスを国内外に積極的に発信してゆきたいと考えています。