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解剖学講座(人体発生学分野)

講座・分野紹介

私たちの教室では、身体はいかにして形成されるのか?或いは、老化していくのか?生命現象のダイナミクスを規定する原理を解明したい!そんな思いを実現すべく研究・教育に取り組んでいます。特に、脳血管の発生と脈管網の形成、さらにその老化について、ゼブラフィッシュからヒトまでを対象にして、特別な顕微鏡と遺伝子解析手法を用いて研究しています。これらの成果は脳形成の謎解きのみならず、脳の高次機能の解明に繋がります。

主な研究内容

◆基礎研究:脈管ネットワーク形成因子の探索
血管を形成する細胞は、身体が創られる最も初期の、血液が届く以前の領域に、何かに導かれるように、原始の脈管ネットワークを形成していきます。このネットワーク形成は、血流の有無に左右されること無く、遺伝子情報として決められたものです。我々はこの脈管ネットワークの形成を規定する遺伝的因子の同定を目指しています(図はマウスの肺静脈形成を示す Abe S. et al https://doi.org/10.1016/j.acthis. 2021.151840)。人体発生学
また、我々は動・静脈だけでなく、リンパ管(胸管)発生のイメージングに世界で始めて成功し(Nature medicine 2006)、リンパ管細胞が体幹の静脈由来の血管から派生してくることを明らかにしました。
動脈・静脈・リンパ管発生は個別のものではなく、胎生期では、相互移行する機構の存在が疑われます。我々は成体の血管系がどのような過程を経て、構築されるのか、その全体像の描出を目指します。

◆臨床研究:動脈硬化性血栓症の診断法開発
動脈硬化性血栓症は、動脈硬化により血管の内面が変性し、血栓形成が誘発され、脳梗塞や心筋梗塞などの発作が生じます。末梢血管の動脈硬化は血管の加齢変化であり、健診などで血管内面の損傷の程度が診断できれば、血栓症が予防でき、重篤な発作を減らすことも可能です。我々は脳神経外科学教室・脳神経内科学教室と協力して、内頸動脈狭窄症を対象として、動脈硬化性血栓症の診断マーカー分子の同定と、診断法の確立を目指しています。

学生へのメッセージ

博士課程の研究者志向の方は、形態学的解析手法や分子生物学的な手法を学び、脈管形成に関わる新しい細胞、分子の発見の研究に携わってもらいたい。臨床研究に関心のある方は、臨床講座と協力しつつ、脈管病の病態解明を目指してほしい。修士課程の方は人体構造を解剖学実習で学んでもらい、自身のスキルアップを図って欲しい。われわれの研究へ、皆さんの参加を期待しております。