三世代7人家族158組のDNAメチル化情報の公開
健康や疾患のリスクは出生前からの出生早期の環境が、その後の健康や病気のなりやすさに深く関係することが知られています。たとえば、妊娠中の母親の栄養状態や喫煙・ストレスなどが、生まれてきた子どもの将来の肥満、糖尿病、アレルギー、心疾患などのリスクに影響を及ぼす可能性があるとされています。
この考え方は DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)と呼ばれており、エピジェネティクスな変化の代表であるDNAメチル化によってその仕組みを説明しようとする研究が世界中で行われています。近年では、環境によるDNAメチル化状態の変化が親から子、さらには孫世代にまで伝わる「経世代エピゲノム継承」の可能性も議論されています。
しかし、ヒトを対象とした経世代解析は困難であり、複数世代にわたるDNAメチル化データと生活習慣情報を網羅的に整備したリファレンスは、これまで存在していませんでした。
そこで東北メディカル・メガバンク計画では、三世代コホート調査に参加した妊婦の方々から出産時に収集した新生児臍帯血、さらに妊婦さん本人と妊婦さんのパートナー(新生児の父)、新生児の祖父母の末梢血のDNAメチル化率を解析し、国内外の研究者が参照できるデータベースとして公開しました。