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全国8地域からなる大規模認知症コホート研究で糖代謝異常と海馬亜領域体積との関連を報告

金沢大学医薬保健研究域医学系脳神経内科学の小野賢二郎教授、九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授、岩手医科大学医学部内科学講座脳神経内科・老年科分野の前田哲也教授、慶應義塾大学予防医療センターの三村將特任教授、愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学の伊賀淳一准教授、熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座の竹林実教授らの共同研究グループは、健康長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究:JPSC-AD 研究のデータを用いて、糖尿病診断の有無にかかわらず、高血糖の状態またはインスリンの分泌能が低下した状態は、記憶に関連する海馬亜領域の体積の減少と関連することを初めて明らかにしました。
本研究結果より、糖尿病と診断されていない人においても、高血糖やインスリン分泌能が低下した状態は記憶力などの認知機能の低下を引き起こす要因の一つとなるおそれがあり、血糖の状態を良好に保つこと、インスリン分泌を保持することが、海馬体積を保ち、認知機能低下を予防できる可能性が示唆されました。
JPSC-AD 研究では 2016 年から 2018 年にベースライン調査を実施し、全国 8 地域で 11,410 名の調査を行いました。2021 年から 2023年には、同対象者について包括的認知症スクリーニング調査を実施し、新たな認知症の発症および認知機能の変化の調査を行いました。
今後、縦断解析を行うことで糖代謝異常がアルツハイマー病を引き起こす詳細なメカニズムを明らかにし、個々の認知症発症リスクに応じた予防・治療法の確立が期待されます。
本研究成果は2024年9月9日に国際学術誌『NPJ Aging』のオンライン版に掲載されました。