尿中抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の有無尿中抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の有無 とがん死亡の関連 ~大幸コホート研究(名古屋市)による追跡結果~
岩手医科大学医歯薬総合研究所の西塚哲特任教授、名古屋大学の中杤昌弘准教授、広島大学の内藤真理子教授、および名古屋大学の若井建志教授らの研究グループは、名古屋市を対象とした前向きコホート研究のデータを用いて、尿中抗ヘリコバクター・ピロリ菌(HP)抗体の有無によるがん罹患率および死亡率について検討しました。尿中HP抗体を有する群ではがん罹患率が高かったのに対し(p=0.00328)、死亡率に関しては同抗体を有するかどうかでは有意な差は見られませんでした。抗HP抗体の有無は過去のHP感染を示唆することから、HP感染があると胃がんのみならずがん全般に罹り易い状態であることが示唆されました。罹患率からはHP陽性者の死亡率がHP陰性者と比較して高いことも考えられますが実際にはHP陽性者とHP陰性者で死亡率は差がなかったことから、HP感染が何らかの生存に有利な影響を及ぼしている可能性も考えられました。
本研究成果は米国東部時間2023年2月8日午後2時(日本時間2023年2月9日午前4時)に米国の専門誌PLOS Global Public Health誌にて発表されました。