日本人エピゲノム年齢推定法の開発と百寿者研究により、健康長寿に関与しうるゲノム上の特徴を発見
岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)生体情報解析部門の小巻 翔平 特命講師、同部門長の清水 厚志 教授、慶應義塾大学医学部病理学教室の新井 恵吏 准教授、同教室の金井 弥栄 教授、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之 教授、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井 康通 センター長、広瀬 信義 共同研究員、KDDI 総合研究所の永田 雅俊 コアリサーチャー、米山 暁夫 エキスパートらの研究グループは、東北メディカル・メガバンク(TMM)計画地域住民コホート研究参加者のうち20 代から70 代までの健常者421 名を選定し、従来用いられてきたDNA マイクロアレイによる年齢予測法とは異なる、超並列型DNA シークエンサーの情報を用いた年齢を推定する新規手法を開発し、東京百寿者研究(TCS)と全国超百寿者研究(JSS)の100歳以上の百寿者94名のエピゲノムの状態を解析しました。
その結果、百寿者の推定年齢は暦年齢よりも若いこと、とくにCD44 を中心としたがん関連遺伝子とCNTNAP2 などの認知機能にかかわる遺伝子群のエピゲノム状態が若い人と同程度に維持されていることがわかりました。一方で、SMAD7 などの抗炎症に関与する遺伝子周辺のエピゲノム状態は、より老化が進んだような状態にあることが明らかになりました。
上記の成果は、国際科学雑誌 The Lancet Healthy Longevity誌に2023年2月1日付(オンライン公開)で掲載されました(https://www.thelancet.com/journals/lanhl/article/PIIS2666-7568(23)00002-8/fulltext)。