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肝臓がんの分子分類と治療薬選択 -がんのタンパク質/ゲノム統合解析による成果-

理化学研究所(理研)生命医科学研究センターがんゲノム研究チームの藤田征志上級研究員(研究当時、現客員研究員)、中川英刀チームリーダー、岩手医科大学医歯薬総合研究所医療開発研究部門の西塚哲特任教授らの国際共同研究グループは、プロテオミクス解析により、肝臓がんが三つに分子分類できることを明らかにし、それぞれの肝臓がんに最適となる薬物療法を見つけました。

本研究成果は、肝臓がんに対する免疫療法や分子標的薬の選択、および新しい治療薬の開発に貢献すると期待できます。

今回、国際共同研究グループは、これまで理研において全ゲノムシーケンス解析を行ってきた259例の肝臓がんに対して、RPPA法を用いて機能的タンパク質発現情報を取得し、全ゲノムとRNA発現情報を統合して解析し、肝臓がんの機能的分子分類を行いました。その結果、三つの群(R1、R2、R3)に分類できることが判明し、各群にとって最適である薬物療法を理論的に決定しました。腫瘍免疫活動が強いR1群には免疫チェックポイント阻害剤が、予後が最も悪く増殖能が高いR2群には免疫チェックポイント阻害剤と血管新生阻害剤との複合免疫療法が、腫瘍免疫活動が弱いR3群にはmTOR阻害剤やRTK阻害剤での治療が適切であると考えられます。

本研究は、オンライン科学雑誌『Nature Communications』(10月29日付)に掲載されました。

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