脳・脊髄血管系の連結過程を明らかにすることに成功~再生医療やガン医療の進展に期待~
岩手医科大学 解剖学講座 人体発生学分野の研究チームは、二光子レーザー顕微鏡を用いて、ゼブラフィッシュの個体内で 脳と脊髄の血管系がいかにして形成されるのか、形態学的に明らかにすることに成功しました。本研究成果は、米国の科学雑誌『Developmental Biology』(2015年10月号)に掲載されます。
左右の内頚動脈と椎骨動脈の合計4本の動脈が脳脊髄への血液供給を担っていますが、これらの動脈系はWillisの動脈輪と脳底動脈を介してつながっており、脳脊髄領域への安定した血液供給路として機能しています。これまでの報告から内頚動脈系と椎骨動脈系が、それぞれ独立して形成されることが判明していましたが、いかにしてこれらの血管系がつながり機能的なシステムとなるのかは明らかになっていませんでした。今回 研究チームは、モデル生物として小型魚類のゼブラフィッシュ(Danio rerio)を使用し、この血管系の連結過程を詳細に解析し明らかにすることに成功しました。本研究成果を利用して血管系の形態形成メカニズムの解明が進み、将来的に再生医療やガン医療の進展に貢献することが期待されます。
(研究内容の問い合わせ先)
岩手医科大学 解剖学講座 人体発生学分野
助教 木村 英二
電話:019-651-5111(内線5831)