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生体防御学分野

生体防御学分野では、生体の有する様々な環境応答を広義の「生体防御」と捉え、その機構解明を通じて健康科学に貢献することを目指しています。遺伝学、バイオイメージングを含む分子細胞生物学、分析科学等の様々な手法を組み合わせて、総合的に研究に取り組んでいるのが当分野の特徴です。

分野からのひとこと

大橋 綾子 教授

生体防御学分野の研究は、獲得免疫に働く抗原輸送体の祖先的遺伝子が、自然免疫しかもたない無脊椎動物ではどのような機能を担っているのかという、免疫の分子進化的興味からスタートしました。その研究から、モデル生物である線虫における新しい腸内オルガネラを発見したことを契機に、栄養・飢餓応答や加齢・寿命などにも関連する研究課題が次々と生まれ、現在に至っています。

腸は「内なる外」とも言われるように、栄養成分の消化・吸収に加え、外界からの様々な異物や微生物との相互作用が繰り広げられる場です。病原体への防御機構に限らず、微生物の共生や寄生のメカニズム解明も当分野の興味深い研究対象となっています。

研究を低学年から体験できる自由科目も開講しています。興味を持たれた方は、気軽に研究室にお立ち寄りください。

分野の基本理念

現代は、蛋白質や遺伝子、細胞までが医薬品として扱われる時代です。免疫に代表されるような「体の中に薬を生み出す生体応答」や、共生微生物が疾病や健康に及ぼす作用もますます重要視されています。生体防御学分野では、生物薬学研究への取り組みを通じて、薬剤師を目指す学生諸君にも、医薬開発への関心や科学的理解力の向上、そして科学的思考に基づく問題解決能力の醸成を目指しています。

科学の発展には、独自の視点や新しさを追求する姿勢が重要であり、またそれこそが研究に携わる醍醐味でもあります。そして、研究に限らず、当分野での様々な学びの基盤には、自由な発想や多様な価値観を尊重する精神があると思っています。生体防御学分野における研究・教育の基本理念は、「違いを認め合うこと」、その上で「(共通する目標や使命をもつチームの一員として)協力し合うこと」です。

主な研究内容

  1. 新規線虫腸内オルガネラ(非酸性リソソーム関連顆粒、複屈折性顆粒)の機能解明
  2. 腸内顆粒の形成・成熟に関わる遺伝子群の網羅的解析
  3. 腸内顆粒に注目した飢餓・栄養応答メカニズムの解明
  4. 抗加齢・健康寿命研究における、若さの指標としての線虫腸内顆粒の解析
  5. 野生線虫における共生微生物(微胞子虫)の同定と感染メカニズムの解明