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睡眠医療学科

当科は2010年7月1日に日本では睡眠医療を中心として行う科として2番目に設立されました。睡眠中に生じる健康障害や睡眠という生理現象が関与する疾患を中心に診療・研究を行います。
講義での担当分野は、3年生で生理検査や呼吸器病学、臨床検査医学の一部として呼吸不全や睡眠関連呼吸障害に関する診断と治療、睡眠検査の方法と解釈を学びます。4年生では神経精神科の一部として不眠症・過眠症の診断と治療法を学びます。5年生では実際に自ら睡眠検査を受ける体験をしていただいて、検査結果を解釈すること、睡眠関連疾患の特性を理解し、将来医師になった時に役立つことを目標とします。

講座・教室からひとこと

西島嗣生 教授

内科や外科の講座は多くの細かい分野によって構成されていますが、当学科は独立し設置されているという性質上、教室は各講座の半分に当たる運営規模です。メンバーは、呼吸器内科医として経験を有し、さらには秋田大学の精神科学講座における専門研究や睡眠生理・生化学研究法の修得を目的とした留学を経て睡眠医療の啓発と教育、さらには診療研究に取り組んでいます。
当科で学位を取得した先輩方は、睡眠学会の専門医それに加え学会評議委員として県内外で睡眠に関する専門診療が可能な病院で働き睡眠医療を地域に提供し、地域の医療機関の責任ある立場で活躍しております。
また、臨床検査技師も睡眠専門技師を修得するために当科で学び、公的な資格ではありませんがCPAP(シーパップ)療法士の資格を取得した臨時職員も、睡眠医療の啓発と教育、さらには診療研究の場で活躍しています。

講座・教室の基本理念

睡眠という生理現象は、人生の三分の一を占めるにも関わらず、歴史的には長い想像と瞑想の領域にありました。12世紀後半に病草紙という様々な疾患を図版として書かれた書物の中にも現在で言う「不眠症」を不眠の女、「ナルコレプシー・睡眠時無呼吸症候群」を眠り癖のある男として描かれています。しかし近年、急速に睡眠と睡眠関連疾患の科学的解明がなされています。当科はこれらの睡眠研究の最新知見をもとに研究成果を臨床医学に応用することを基本理念としています。
当科では睡眠呼吸障害、不眠症、過眠症、睡眠行動異常障害などの睡眠関連疾患に関する幅広い知識を備え、病態と睡眠の関わりや問題を総合的に横断的に洞察できる能力を有する内科学、精神神経学および歯科学系の臨床指導者および医学研究者、さらに睡眠中の生理学を検査できる検査技師を育成することを目標とします。
学生教育においては3年生・4年生に呼吸器病学・臨床検査学・精神神経学の一部として義を行います。5年生では各グループごとに臨床実習を行います。さらに高度臨床実習では時間を掛けて睡眠医療の実際や検査業務、研究に直接的にふれる機会を提供します。
臨床データからその解決法を学び、医師国家試験あるいは卒後臨床研修に必要な知識・技能も取得します。
睡眠学は、高血圧症、致死的血管障害、認知症、小顎症など様々な疾患との関わりが強くこれらを生理学的、解剖学的に結びつけて学ぶことができます。

主な研究内容および診療内容

診療内容

当科では、自覚症状に乏しい一方で、深刻な健康被害や労災被害を引き起こす睡眠呼吸障害・睡眠関連疾患の診断・治療を行っています。さらに、臨床検査医学校背・外科学講座・糖代謝内科・矯正歯科などと連帯して診療を行っています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群:完全な上気道閉塞や部分的な上気道閉塞が睡眠中繰り返し生じることで、睡眠中の低酸素血症と睡眠の分断を引き起こす病態であり、その原因はとして肥満・小顎症が上げられる。人口の10~17%の罹患率が推測され、致死的血管障害の合併や交通事故の原因となる疾患。
内科疾患に基づく中枢性睡眠時無呼吸症候群(チェーン・ストークス呼吸):左心不全や脳血管障害を含めた中枢神経疾患に起因し、左心不全に合併する睡眠時無呼吸症候群の発症率は閉塞性睡眠時無呼吸症候群とチェーン・ストークス呼吸を含めると50%と言われている。
ナルコレプシー:慢性の中枢性過眠症で、日中の過度の眠気や居眠りを基本症状として、情動脱力発作、REM睡眠関連の睡眠麻痺、睡眠発作、入眠時幻覚で特徴づけられる疾患です。発症のピークは14歳ぐらいであり、授業中の居眠りなどを主訴に来院することが多い。
REM睡眠行動異常症:睡眠中に夢の内容と一致した行動を起、本人やベットパートナーが被害にあうこともある疾患で、パーキンソン病・レビー小体認知症の前駆症状・合併症として見られることがある。
むずむず脚症候群:主訴として足が「むずむずする」「不快」「虫が這うような」「引っ張られるような」「チクチクするような」「ヒリヒリするような」などの訴えをする。下肢を動かさずにはいられないという症状に駆られ、夕方から症状が悪化し、入眠困難・中途覚醒の原因となる疾患である。
他、睡眠遊行症(夢遊病)、周期性四肢運動障害、不眠症などの診断・治療・睡眠衛生指導を行っています。

 

主な研究内容

1) 睡眠呼吸障害におけるバイオマーカーの探索研究
疾患に特異的なペプチドや炎症蛋白などを検索し、これまでに血漿中オレキシンをはじめ、バスピン、キスペプチン、可溶性プロレニン受容体などと睡眠呼吸障害の関係を明らかにし、海外の専門誌上で報告してきました。(西島教授)
2) メタボリックサージェリー(肥満外科)の睡眠呼吸障害に対する効果に関する研究
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の最も重大な発症要因は過体重あるいは肥満で、病的肥満における重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の有病率は72.3%であった。これまでの追跡でメタボリックサージェリーを行うと約半数が致死的血管障害を回避することが推測され、睡眠呼吸障害改善の効果を長期的に検討しています。(西島教授)
3) 肥満低換気症候群に対するメタボリックサージェリー(肥満外科)の効果
肥満低換気症候群の典型病態は、著しい肥満と日中覚醒時の肺胞低換気を示すことであり、 この特徴は1956年Burwellらによって提唱されたPickwickian症候群と呼ばれる病態と一致します。治療法として減量、Nasal CPAP療法、 Bilevel-PAPなどがあり、OHS改善のために体重の25%から30%減量を目的とする介入方法が必要とされています。日本人におけるOHSの有病率を明らかにし、メタボリックサージェリーが治療として効果があるかを検討しています。(細川特任講師)
4) 過眠症の客観的評価に関する研究
覚醒を維持することが困難な過眠症は自覚的な評価のみでは判断できない障害です。この症状を客観的に評価する方法を検討し、覚醒維持試験の一種であるOSLERテストの導入に向けて検証を行っています。(細川特任講師)
5) 多施設共同研究
i. 睡眠関連呼吸障害疑い症例に潜在する遅発型ポンペ病スクリーニング
睡眠呼吸障害が疑われる患者群における遅発型ポンペ病の有病率が一般人口における有病率が高いことを明らかにする目的で血中酸性αグルコシダーゼ活性値 を用いて検討しています。
ii. 日本におけるCPAPアドヒアランスの評価
医療保険制度および健康保険適用におけるCPAP導入基準が米国と異なる我が国のCPAPアドヒアランス・アクセプタンス(ドロップアウト)を明らかにすることを目的として米国の睡眠診療状況に合わせて施設を選定(日本睡眠学会認定医療機関あるいは日本睡眠学会専門医が常駐する大学附属病院、地域拠点病院、プレイベートスリープラボ)し、CPAP導入日からの90日間のアドヒアランスおよび365日間アドヒアランス、さらにはドロップアウト率を算出し検討しています。