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内科学講座 [脳神経内科・老年科分野]

神経学は解剖学と症候学に基づく論理的なサイエンスです。診察して得た神経学的所見から責任病変の局所診断を行い、網羅的で的確な病歴聴取から臨床診断を行います。かつて脳は人類最後の聖地と言われ、治療は諦観されてきました。しかしDecade of the Brainに代表される脳科学推進の世界的潮流が、脳神経疾患の病態解明、治療開発の強い追い風になっています。高齢化により増加傾向にある脳神経疾患に対して、私たちは探求・篤学の士となり知識をアップデイトして教育、診療、研究に取り組んでいます。

講座・教室からひとこと

前田哲也 教授

前田哲也 教授

岩手医科大学脳神経内科・老年科は開設以来40年以上、伝統的に岩手県の脳卒中、認知症、パーキンソン病、神経免疫疾患、頭痛などの脳神経疾患の診療と研究を精力的に行ってきました。2019年、矢巾町への附属病院移転と同時に当科は附属病院および附属内丸メディカルセンターでの診療標榜を脳神経内科・老年科に、また講座名も2020年新年度から内科学講座脳神経内科・老年科分野に変更しました。これからも診療・研究に全力で取り組んでいきたいと考えております。

岩手医科大学脳神経内科・老年科の伝統は教育でも神経学の発展に貢献してきました。学生に対する系統講義を、より包括的かつ効率的な教育を目標に、臨床実習も可能な限り神経症候学のリアルに触れ、『体得できる』を目標に取り組んでいます。一人でも多くの若者が神経学に興味を抱いてその門を叩いてくれることを強く期待しています。また若い脳神経内科医に対する教育でも、神経電気生理学、神経病理学、神経画像診断学など指導体制を整え、極めて高度な専門知識が求められる日本神経学会認定専門医の育成に力を入れております。当科の脳神経内科医のレベルは非常に高く、人口10万人あたりの脳神経内科医の数は全国的に上位を占め、さらに県内の脳神経内科医の6割は専門医としての資格を有しています。他にも当科では総合内科専門医、脳卒中専門医、脳神経血管内治療専門医、認知症専門医の先輩がおり育成に力を入れております。
診療面では、附属病院入院診療、内丸メディカルセンター外来診療を中心に高度かつ専門的な医療提供を行っています。一方、県立病院をはじめ県内各地の基幹病院に医師を派遣し、地域医療、特に人口過疎地の医療に貢献しています。日本の超高齢化は既に現実となっていますが、これまで当科が注力し実践してきた医療全般は現状にも十分な対応力があると考えています。
研究面では、脳卒中班、認知症班、パーキン班、免疫班などを設けており、定期的な勉強会やカンファレンスを開催して研究会議、学会発表、論文投稿などを協議しています。特に、本学のある矢巾町と連携して現在進行中の前向きコホート研究には当科をあげて取り組み、新たなエビデンスを発信していきます。医学博士を目指す大学院生も門戸を広くして受け入れております。幅広い脳神経科学の領域から、高度に突き詰めて進みたい若き研究者の探求心をサポートします。東北の地からこれからの日本へ向けて、診療・研究のオピニオンリーダーとして活躍していきたいと考えています。

講座・教室の基本理念

脳神経内科・⽼年科は、ヒトの神気・経脈の全てに生じる病態を念頭に加齢による修飾を勘案しながらも、神経解剖学と神経症候学を礎に内科全般の知識を駆使して局所診断を⾏い、病態を解明して体系的な総合診療を⾏う診療科です。第二代教授の寺山靖夫教授の言葉である「すべての科学的研究はベッドサイドから」の信念と、医師は須く研究者である気概をもって、教育、診療、研究を実践します。

主な研究内容および診療内容

主な研究分野

1.脳血管障害

2.認知症

3.パーキンソン病と類縁疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺など)

4.運動失調症やハンチントン病などその他の運動障害疾患

5.多発性硬化症と視神経脊髄炎スペクトラム疾患

6.神経筋・筋接合部免疫疾患(免疫介在性末梢神経障害、重症筋無力症、筋炎など)

7.片頭痛とその他の頭痛

 

主な診療内容

物忘れ、頭痛、ふらつき、筋力低下、しびれ、ふるえなどが脳神経内科・老年科の対象症状です。脳、脊髄、末梢神経、筋に生じる病気が脳神経内科・老年科の対象疾患で病気によっては全身に及びます。内科疾患に付随して生じる場合もあります。症状や経過、既往歴や家族歴などを詳細に伺って、神経学的診察を行い、必要に応じて検査を計画して診断し、疾患特異的な治療を行う診療科です。うつや幻覚・妄想などの精神症状を診療する神経精神科や心療内科とは違います。上記研究分野に関連して専門外来が開催されています。臨床現場での教育・研究は大学の使命でもあります。研究への協力、学生教育への協力、臨床試験へのご協力をお願い致します。

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