内科学講座 [腎・高血圧内科分野]
腎・高血圧内科分野は、腎疾患、腎不全、高血圧性疾患に関わる全ての領域の診療・教育・研究を担当します。診療実践と研究・教育活動を通じてサイエンスとアートの調和の取れた医療人を養成し、地域に全国標準の腎疾患・腎不全の診療文化を醸成するため、医学教育機関としての責務を果たしてゆきます。
講座・教室からひとこと

旭 浩一 教授
腎臓は常に全身臓器と互いに調和を保ちながら、生体内環境の恒常性維持に中心的役割を担っています。一方、腎臓と全身の諸臓器の不調は互いに影響して種々の病態を形成して健康に支障をきたします。様々な腎疾患や生活習慣病並びに高齢化を背景に増加している慢性腎臓病(CKD)は一つの例であり、透析の原因となるばかりでなく脳・心血管病、認知機能障害とも密接に関係し、健康寿命や生活の質(QOL)を大きく損なう原因となるため、その克服が社会的な重要課題となっています。
私たちは常に腎疾患患者の病態を幅広く全身的視野から捉えるとともに、最新の診断治療により治癒や重症化予防を達成することで健康寿命を延ばすことを目指しています。また、科学的知見ばかりでなく患者の価値観や社会的背景を尊重し、全人的視点から個別に最適な治療を提供することに努め、QOLや個人の尊厳を保ちながらwell-beingを実現できるよう生涯にわたり患者を支援することに努めています。
講座・教室の基本理念
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- 腎臓をhubとして常に全身を診る。
- 腎臓病患者を全人的に把握し全経過を診る。
- 臓器別診療に偏らない総合力を備えた腎臓・透析専門医を育成する。
- 地域住民、患者に立脚した研究を重視し、成果を国内外に発信する。
- チーム日本の一員として国内外の腎臓病の診療水準と疾病対策の向上に貢献する。
主な研究内容および診療内容
1.研究
- 地域住民の慢性腎臓病(CKD)/高血圧症/心血管病の発症進展の要因解析
- CKDおよびCKD高危険群の重症化の病態解析(前向き観察研究)
- ゲノムワイド関連解析(GWAS)に基づく腎臓病リスクならびに治療標的の同定
- 腎不全における生体内レドックス制御の分子機序と治療
- 腎臓病の診療実践と患者立脚型アウトカムの検証と国際比較
- CKD重症化予防のための多因子治療の開発ならびに地域保健医療連携システムの構築 など
県内・全国レベルの各種の住民・患者コホートを活用したリアルワールドの観察と診療実践の検証から新たな知見や仮説を抽出し、その深化や解決に必要な研究を多面的に展開し成果を発信することを目指しています。
2.診療
- 慢性腎臓病(CKD)の診断・治療と透析(腎代替療法)への導入
- 透析を受けている患者のマネジメント(バスキュラーアクセス造設・管理を含む)
- 高血圧、腎血管疾患の診断・治療
- 急性腎障害(AKI)の診断・治療
- 水電解質、酸塩基平衡異常の診断・治療 など
当科は検尿異常からあらゆる腎臓病(腎炎、ネフローゼ症候群、全身性疾患(糖尿病、膠原病、血管炎、血液疾患など)に伴う腎障害、薬剤性腎障害、希少な遺伝性腎疾患など)、腎不全、高血圧性疾患(二次性高血圧、難治性高血圧)に対応します。「腎生検」は年間約150例と国内有数の実施数です。