放射線腫瘍学科
放射線腫瘍学は、放射線を用いたがん治療の科学的基盤を探求する医学分野です。物理・化学・生物学の視点から高エネルギー放射線を精密に制御し、体内の標的に治療効果を集中させることで、がん細胞を選択的に破壊します。近年では、放射線ががん細胞の免疫原性を高め、免疫応答を誘導する可能性も注目されています。
放射線治療は、臓器の形態や機能を温存しつつ、がんの根治や進行抑制、症状緩和に効果を発揮します。高齢化が進む現代社会では、身体的負担の少ない低侵襲治療の重要性が一層高まっており、放射線治療はその中核を担う存在です。私たちは、医学の進歩とともに加速する物理・工学技術を積極的に導入し、患者の幸福に資する医療の実現を目指しています。
講座・教室からひとこと

有賀 久哲 教授
広大な岩手・北東北エリアで高水準のがん医療を維持・発展させるには、病院間の機能分化と連携が不可欠です。当科はがん拠点病院の放射線治療センターとして、年間800人を超える患者を広域から受け入れ、高精度かつ高難度な治療を提供しています。多様ながんに対応するチーム医療の一翼を担い、診療と研究を通じて地域のがん医療に貢献することは、かけがえなのない学びと成長の機会となるでしょう。
講座・教室の基本理念
放射線腫瘍学科は以下の理念に基づき、診療・研究・教育を行っています:患者の価値観と希望を尊重する診療・研究の実践、最新の科学的知見に基づく安全で信頼性の高い医療の提供、多職種・多施設と連携した全人的チーム医療の推進、放射線腫瘍学の発展を支える継続的な学習と自己研鑽、公正かつ倫理的な医療の実現
主な研究内容および診療内容
- 前立腺癌に対する寡分割・超寡分割照射の臨床研究
- 高齢膀胱癌患者への低侵襲膀胱温存治療の開発
- IMRT・画像誘導小線源治療を用いた子宮頸癌の根治的照射
- 広域医療圏に対応した放射線治療方法の最適化
- 多施設共同研究への参画(患者登録、研究デザイン等)