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口腔保健育成学講座 [小児歯科学・障害者歯科学分野]

小児歯科は、子どもの口とその周囲を健全に育成することを目的とした歯科の一分野で、これを障害する疾患や異常の予防と治療法を修得する臨床科目です。障害者(児)歯科は、知的あるいは身体、精神的障害によって通常設備の診療所において歯科医療を受けるのが難しい患者(いわゆる歯科的障害者)のための臨床科目です。

講座・教室からひとこと

田中光郎 教授

森川 和政 教授

 「The child is not a little man.」子どもは大人を小さくしたものではありません。つまり小児は、肉体的、精神的、生理的、機能的にも成人とは異なり成長発育過程の中にあることを常に認識しなければなりません。小児歯科では、このような成長発育過程にある小児を対象とし、その顎口腔領域の形態的および機能的な発育に関与することによって、全身の発育と保健に寄与することを目指しています。

障害者(児)歯科では、歯科治療や予防処置を行う際、通常の方法ではできない場合が少なくありません。私達は医学・歯学の知識をひろく用いながら、歯科診療にいろいろ工夫を加えることにより、よりよい患者(児)の口腔状態、ひいては全身状態を目指しています。また、障害者(児)歯科医療に携わることによって得られた知識を、逆に医学・歯学に還元できるのではないかと期待しています。

治療に関しましては、特に歯科治療が苦手な子どもたち(歯科治療不協力児、障害児)への対応に力を入れております。日常臨床において歯科医院への来院や受診を嫌がる子どもたちをよく見かけます。その原因として、患児が低年齢であること、過去の歯科治療で恐怖経験があること、からだや心の発達の遅れがあることなどが考えられます。そのような歯科治療が苦手な子どもたちに対して、その患児の歯科治療に対する受け入れ状態から、治療方法を行動療法的アプローチと薬理学的アプローチに分類しております。行動療法的アプローチでは行動変容法や構造化プログラムを応用し、薬理学的アプローチでは受容が可能であるならば笑気吸入鎮静法で、受容が困難で治療時間が短い場合は静脈内鎮静法で、治療時間が長い場合には全身麻酔法で、また選択した方法でうまくいかない場合には上位のアプローチへ変更するように、初診時において保護者・患児に情報を提供しております。特に障害者(児)の歯科治療に関しましては、患者(児)の障害の特徴を理解した上で安全かつ、その患者(児)に最も適した対応法の選択をしております。

講座・教室の基本理念

小児歯科学を通して、小児の健康維持・増進に寄与する事を目的として小児の口腔領域の正常な発育をはかり、健全な発育を障害する異常や口腔疾患の予防と治療の理論と方法を研究・実践します。また、障害者歯科学を通して、各種障害の特長や歯科診療に際しての工夫(全身管理および全身麻酔を含む)を教育します。さらにそれらを通して,患者(児)の歯科治療方法を自分で工夫できる歯科医師を育て、治療に役立つ技術の研究を行います。

主な研究内容および診療内容

<主な研究内容>

  1. 小児の口腔内細菌叢の善玉化
  2. むし歯にならない歯質強化法の開発
  3. 骨形成因子による象牙質形成メカニズムの解明と再生への応用
  4. 歯の萌出に伴う歯槽骨骨吸収機序の解明
  5. 小児の口唇閉鎖力、舌圧と顎顔面形態との関連
  6. 日帰り全身麻酔法の工夫
  7. 呼吸方法のガス交換に及ぼす影響
  8. 歯科治療不協力児、障害児への対応法
  9. 新たな嚥下指導法の開発

<主な診療内容>

  1. 小児の虫歯の予防
  2. 小児の虫歯の治療
  3. 歯科治療不協力児、障害児への行動療法的アプローチ
  4. 全身麻酔下での小児ならびに障害者(児)の歯科治療
  5. 定期的チェックアップ(フッ化物の塗布、歯科衛生士によるプロフェッショナルケア)
  6. 歯の外傷(けが)
  7. 軟組織の異常への対応(上唇小帯、舌小帯など)
  8. 咬合誘導(歯並び)
  9. 小児科入院患者の口腔ケア