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内科学講座 [消化器内科分野]

消化器内科分野は、2022年4月に旧「消化器内科消化管分野」と旧「消化器内科肝臓分野」が統合され誕生しました。
消化管・胆膵の腫瘍や炎症性疾患を対象としてX線検査や内視鏡を用いた診療および炎症性疾患の病態解明に関する研究に力を入れています。また、肝臓の正常な働きを理解しその評価方法を修得し、肝臓病の診断法や治療法を修得することによって、患者さんの全身を捉えるという、内科としての基本的な考え方を学びます。

講座・教室からひとこと

松本 主之 教授

わが国では胃癌の有病率が高く、大腸癌の増加も大きな問題となっています。消化管癌や胆膵腫瘍の診断や治療において光学医療は必須であり、この領域の技術革新には目覚ましいものがあります。消化管内科の責務は消化管・胆膵疾患患者に最新の機器を用いた精密な診断と最良の治療を提供することであり、そのためには熱意と技術の両方を備えた消化管専門医を育てること、消化器外科、病理診断科など多くの診療科と密に連携することおよび診断・治療における質の高い臨床研究を行うことが重要です。
近年ではクローン病や潰瘍性大腸炎などの罹患率の上昇もあり、その病態解明が急務となっています。当講座では炎症性腸疾患の発生メカニズムについても細胞レベルあるいは遺伝子レベルの研究を押し進めるとともに、この領域に関する多施設共同研究にも積極的に参画し、リーダーシップをとりたいと考えます。高い志をもつ研究者を歓迎します。
劇症肝炎に対する内科・外科治療の選択肢すべてを備えた北東北の中心的施設として患者を治療しています。腹部超音波などを用いて精度の高い予後予測を行い、消化器外科・移植コーディネーターなど多職種と連携して肝移植への橋渡しの役割も担っています。
わが国の慢性肝炎の主因であったHCVはDirect Acting Antiviralsの発売により制御可能となっています。一方で、肥満やメタボリックシンドロームに起因した脂肪肝やアルコール関連肝障害への介入は不十分です。検診や市民公開講座などを通して岩手県、日本全体へ疾患の啓蒙を行っていきます。
また、ウイルス肝炎と異なり脂肪肝は定期的な肝臓の検査を行っていない方も多く、脂肪肝に起因した肝細胞癌が増加しています。ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術、全身化学療法、肝動注療法に加えて消化器外科と連携した外科切除まで、肝細胞癌に対するすべての治療を提供できる体制で診療を行っています。肝細胞癌に対する抗がん剤の治験や多施設共同研究に参加し、肝細胞癌の治療における最新知見の確立に寄与してまいります。

講座・教室の基本理念

・消化管、胆膵の臨床を重んじ、一例一例を大切にします。

・常に新知見を探索します。

・世界に情報を発信します。

主な研究内容および診療内容

【旧:消化器内科消化管分野】

主な研究
  • 消化管腫瘍の分子病理学的解析
  • 遺伝性消化管癌の遺伝子解析
  • 炎症性腸疾患の遺伝子解析
  • 炎症性腸疾患のバイオマーカー探索
  • 乳頭括約筋の機能解析
  • 機能性消化管疾患の病態解明
主な診療
  • 消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)のX線・内視鏡診断
  • 消化管癌の内視鏡治療
  • 胆道・膵腫瘍のX線・内視鏡疾患
  • 胆道・膵疾患に対する内視鏡治療
  • 超音波内視鏡下穿刺細胞診
  • 小腸内視鏡を用いた小腸疾患の診断と治療

【旧:消化器内科肝臓分野】
臨床的な目標に向かって以下のような診療・研究を行っています。

<肝不全で亡くなる人を減らすことを最終目的として>
  • 急性肝炎劇症化の予知と予防治療に関する前向き研究
  • B型肝炎治療薬の創薬研究
  • 強力な人工肝補助療法とその機器開発
  • 肝再生医療に関する研究・技術開発
  • 脳死・生体肝移植前後の治療とその研究

<肝硬変・肝癌撲滅を目指して>

  • ウイルス性慢性肝炎に対する抗ウイルス療法と創薬研究
  • 肝癌に対するラジオ波焼灼療法、動脈塞栓療法、抗癌剤動注療法、進行肝癌に対する化学療法とその作用機序に関する基礎的・臨床的研究
  • 肝硬変の栄養代謝異常およびサルコペニアの病態解析と治療に関する研究
  • 肝性脳症・潜在性脳症の発生機序の解明と診断・治療に関する研究

<将来増加が予想される肥満による肝疾患の予防・治療法開発を目指して>

  • 脂肪性肝疾患の遺伝的素因とそれに基づいた治療・予防の研究
  • 肥満およびこれに関連した、肝を含めた多臓器障害を抑制する新薬の研究
  • 複数の肝画像診断とAIを組み合わせた新たな画像診断の開発研究