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生化学講座 [分子医化学分野]

古山 和道 教授

生化学は生体の中で起きている現象を化学の知識を用いて理解しようとする学問です。そして、人体の中で起こる生化学的な現象を理解し、さらにはその異常に起因する疾患の病態を明らかにする事を目的にしているのが医化学です。 ヒトのゲノムDNAの配列が明らかにされ、その結果、ヒトの遺伝子は2〜3万個程度である事が報告されましたが、遺伝子の配列が全て明らかになっても、原因が分からない疾患は数多く存在します。また、原因となる遺伝子が分かっても何故その様な症状が出るのか不明な疾患も沢山あります。私たちは、様々な分子の機能を解明する事により、そのような疾患の原因や病態を分子レベルで明らかにしていきたいと考えています。

主な研究内容

  1. へム生合成調節機構の解明
    ヘムは様々な蛋白質の補欠分子として機能しているだけではなく、転写,翻訳、翻訳後修飾、さらには糖代謝や慨日リズムの調節など、生体内の様々なシステムの制御に関わる事が近年報告されています。ヘムはほぼ全ての細胞内で合成されますが、その合成の律速段階であると考えられている酵素が5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)です。 ALASには全ての細胞で発現するALAS1(蛋白質名はALAS-N)と赤芽球でのみ発現するALAS2(蛋白質名はALAS-E) の2つのアイソザイムが存在しますが、ALAS1の制御の破綻が急性間欠性ポルフィリン症という疾患の、あるいはALAS2の遺伝子の変異が遺伝性鉄芽球性貧血の発症原因となる事が知られています。私たちはALAS1やALAS2の発現制御機構を明らかにする事により、これらの疾患の病態を理解し、さらには新たな治療法の開発も行ないたいと考えています。
  2. 遺伝性鉄芽球性貧血の発症機構の解明と原因遺伝子の同定
    鉄芽球性貧血は環状鉄芽球(鉄が沈着したミトコンドリアが核を取り囲む様に観察される赤芽球)が骨髄に出現する事を特徴とする貧血症の総称です。ALAS2以外にもいくつかの遺伝子が先天性鉄芽球性貧血の原因遺伝子として報告されていますが、未だに原因遺伝子が分からない先天性鉄芽球性貧血の患者さんもいらっしゃいます。私たちは次世代シーケンサーによる解析等をもとに鉄芽球性貧血の原因遺伝子を明らかにする事により、このような患者さん達が適切な治療をうけられる手助けをし、また赤血球造血機構の詳細を理解したいと考えています。
  3. 酸化・単鎖切断DNA損傷の修復機構の解明
    細胞の設計図であるゲノムDNAは常に酸化、加水分解、化学修飾、鎖切断などによって毎日非常に多くの損傷を受けています。これらの損傷は非常に効率よく修復されていますが、多量の変異源に曝されたり、修復機能が低下したりするとゲノムDNAが変化します。これによって設計図に誤りが生じ、細胞の死、がん化、老化などを引き起こすと考えられています。私たちは、細胞がこれらの大量の損傷をどのようにして効率的に修復しているのか、反応の分子メカニズムを培養細胞を用いて分子生物学的に解明することを目標としています。これによって、がんになりやすい傾向を決める因子などの同定が可能になると考えています。