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平成21年度4・5・6学年父兄懇談会

本日お集まりになっているのは4・5・6年生のご父兄ですが、あっという間に現在の学年になったと感じているのではないかと思います。ご父母の皆様には、日頃から大学運営に関して、大変ご協力をいただき、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
医学部に関しては、一昨年の新医師確保総合対策、緊急医師確保総合対策、昨年の閣議決定を外してまでの定員増などを経て、従来80名だった定員が、今年 の新入学生から110名に増えました。歯学部が出来た45年ほど前、医学部としても将来は入学定員をもっと増員するのだと計画し、100名を想定して講義 室、実習室などを整備してきましたが、今般の大増員もあり、総合移転整備計画の一部を変更し、矢巾地区に医学部・歯学部の4年生までを先行して移転するこ ととしました。再来年4月からは、4年生までの医・歯の学生諸君は、矢巾の新キャンパスで学んでいただくことになります。現在、新しい講義・実習棟、研究 棟など、鋭意計画をしているところです。今年度末には着工できる予定です。
私は全国医学部長病院長会議の会長をさせていただいております。先週末、その総会が開催され、諸問題について議論しました。昨年6月、国の方針が大きく 転換し、定員増は行わないとしていた閣議決定を外して、全国過去最大規模を200名超える定員まで増員されました。いろいろ問題があると指摘されていた臨 床研修制度についても、見直ししないと決まっていたことが白紙に戻りました。来年度から、つまり現在の6年生が卒業したときから、大きく制度が変わること になります。
その会議に来賓として出席した厚労省の役人が、「今までの臨床研修制度は間違いであった」と明言しました。そして「大学病院には大変ご迷惑をおかけし た」と。大学病院の医師派遣、地域医療支援が強化されなければ、医療崩壊はさらに進むとの認識のもと、今回の臨床研修制度の改革にあたっては、「大学病院 の機能強化を目指して制度転換をした」「今までの方針を転換した」と、明確に話しました。来年から、研修制度の内容の弾力化、そして大学を含めた臨床研修 病院群として研修を行い、機能強化することが盛り込まれています。ですから今後は、大学病院を中心に臨床研修を行わないと、制度変更の中で新卒者が大変な 不利益を被ることになるかと思います。今日は、そのあたりのこともお聞きになっていただきたいと思っています。
歯学部については、ご父兄に大変なご心配をおかけしています。マスコミを含め、国のネガティブ・キャンペーンに乗せられているところが大きいと思いま す。オーバーな形で歯科医師過剰問題が論じられていますが、その一方で国内には歯科医師のいない地区がたくさんあります。歯科医療の内容も大きく変わって きています。
根幹には医療費抑制政策があります。いまだに財務省を含め、財政制度諮問会議では、医療費抑制が声高に叫ばれています。私は日頃から申し上げているので すが、臨床研修制度の見直し、入学定員の見直し、医・歯を含めた医療費抑制政策の改革という3点セットが無ければ、日本の医療崩壊は止まりません。しか し、医療費問題については、臨床研修制度にはいろいろ問題があると指摘されていました。その意見が国に届いていません。
その中で歯学部に関しては、講座を再編し、診療科の再編も行って、新しい歯学部として生まれ変わるプログラムを組んでいます。2年後に矢巾に移転すると きには、教育・診療・研究において、医・歯・薬学部3学部の連携を深める方向で進んでいます。国家試験の合格率を上げ、教育の質を上げ、そして診療と研究 の質も上げなければなりません。大学の三つの柱である教育・診療・研究が、バランス良く発展することで、学生のレベルも教育のレベルも上がり、国家試験の 成績も上がるのだと思います。今はその過程であることから、ご心配かと思います。しかし、ここ数年が本学の勝負と考えて取り組んでおります。そのことにつ いて、ぜひご理解とご協力をいただきたいと思います。
教育は大学、教員の問題だけではありません。学生がやる気を出し、ご両親からのバックアップがある。三位一体でなければなりません。皆様にもご理解をいただき、大学とともに、教育を向上させていくのだという気持ちを持っていただければ幸いです。

(平成21年5月29日 盛岡グランドホテル)