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平成26年度入学式式辞

本日入学式を挙行できますことは、本学にとりまして誠に大きな慶びであります。

新入生諸君、入学、誠におめでとう。諸君は本日から岩手医科大学の学生として、医師、歯科医師、薬剤師そして研究者を目指す第一歩を踏み出しました。その感激と初心を忘れることなく、勉学に励むことを希望します。 

そして、諸君には五千名を超える教職員、在校生を代表し心から歓迎の意を表します。また、ご列席のご両親、御親族の方々には入学生本人以上にお喜びの事と思います。衷心よりお喜びと、お祝いを申し上げます。 

皆様には、本学の「歴史」と「建学の精神」を知って頂かなければなりません。本学は、明治三十年、三田俊次郎先生によって創立された私立岩手病院、医学講習所を源としています。今日まで百十七年もの長き歴史をもつ伝統ある大学であります。明治維新から間もなく日本が近代国家に生まれ変わろうとしている時代です。日本で初めての大学「東京帝国大学」が発足したのが、明治十九年、二番目の「京都帝国大学」が発足したのが明治三十年ですから京都大学と本学とは同じ歴史ということになります。 

歯学部は、昭和四十年、国公私立を通じ北日本初の学部として発足しました。さらに、平成十九年、薬学部を開設し、以来、医、歯、薬三学部を有する医療系総合大学として発展を遂げつつあります。 

本学には、地方にありながら世界一、日本一と言ってよいものが多くあります。過去のものまではとても紹介できませんから、ごく最近のことをわずかだけ紹介します。まず、矢巾キャンパスにある「七テスラ超高磁場MRI研究施設」です。次世代型解析装置を搭載した世界第一号機です。研究の進み方も世界のトップで、世界各地から共同研究が依頼されています。また、CTの分野でも本学と日本の企業との共同研究の結果、世界最超高速CTが開発されました。従来は診断が難しかった動く臓器である心臓の高精度診断を可能にした世界一号機が本学に設置されています。この装置は、今や世界のベストセラーになっています。 

教育の分野では、学部の枠にとらわれない連携教育を提唱し文部科学省と折衝してきました。当初は前例がないとの理由で拒否されてきましたが、数年間の折衝の結果、学部を超えた横断的講座が認められ「統合基礎講座」をスタートさせました。現在では、本邦初の試みとして国からも大変期待されています。そして、医、歯、薬学部、それぞれの大学院が同一キャンパスにあるのは本学のみです。学部の垣根のない教育・研究・診療の環境の下、患者中心の医療、チーム医療の根幹を学んで頂きたいと思います。 

さらに、米国ハーバード大学との間で教育及び診療に関し対等の連携関係を構築することができました。現在、歯学部の学生・教員を中心に相互乗り入れが実現しています。本学を訪れたハーバード大学学生の中には、このまま本学に留まりたいとの気持ちも寄せられています。

この様に、地方にありながら、世界から注目され、世界に発信してゆく大学を目指しています。 

現在、本学は歴史的大事業である総合移転整備計画を進めております。諸君が在学中の平成二十九年には百二十周年をお祝いし、平成三十年には「内丸メディカルセンター」を開院させ、平成三十一年には「矢巾キャンパスに千床規模の大病院」の開院を予定しています。新病院は従来の古い発想にとらわれず、新しい考え方を取り入れた世界最新鋭の病院になる予定です。諸君には、世界の一流大学と連携する大学と最新鋭の新病院で実習と修練を受ける事によって、世界に羽ばたく有能な医療人に育ってくれることを切に望みます。 

諸君は、医療系高度専門職業人となるべく本学に入学しました。医療に携わる以上、病める弱者の立場に立ち、その気持ちがわかる豊かな人間性が求められます。それを裏打ちする教養と社会性、人間関係の構築は必須の素養であり、人々から信頼される社会人であること。これこそが本学の建学の精神である「医療人である前に誠の人間であれ。」の意味であります。一方、弱者への「思いやりの心」があっても、最新の知識や技能なしには高度医療の実践はできません。その意味で、十分な知識と技術を習得することが求められます。これからの大学での勉学は、将来諸君たちが診ることになる患者さんに対する「義務」であります。 

次に、大学院に入学された諸君に申し上げます。

医学、歯学、薬学、医療、生命科学の進歩は極めて早く、今の常識があっという間に非常識になるほどです。その意味で生涯学習は極めて重要であります。大学院における研究を通じ、自らが生涯学び続ける事ができる手法を修得することは、誠に意義あるものであります。諸君の賢明なる選択に敬意を表したいと思います。大学院は、最高学府の最上位に位置するものであることを自覚し、これから始まる研究が所期の目的を達成し、将来の国民の福祉、患者の幸せのために実り多きものになること、そして、諸君が立派な指導者に育って頂く事を期待しています。 

最後に、国民の負託にこたえる意味で、勉学に励み、有意義な学生生活を送られ、立派な医療人、研究者に成長されることを切望します。そして、岩手医科大学が諸君とともに限りなく発展することを祈念して式辞といたします。

(平成26年4月9日 岩手県民会館)