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平成23年度医学部・歯学部4・5・6学年父兄懇談会

平成23年度医学部歯学部4・5・6学年父兄懇談会3月11日の大災害では、ここにお出でのご父兄にも被災された方がいらっしゃるものと思います。本学3学部の学生1852名、大学院生まで入れると2055名が学んでいますが、本学で調べたところ、5%を超える学生のご実家が何らかのかたちで被災されたということです。心よりお見舞い申し上げます。 矢巾キャンパスについてご説明します。本学は、矢巾への移転を準備してきました。新幹線でいらっしゃるご父兄には、盛岡駅に着く少し前に、車窓右側に岩手医大のキャンパスがご覧いただけると思います。今年度から医学部・歯学部3年生まで新キャンパスで学ぶ予定となっていました。3月11日の大災害では、内陸にある盛岡・矢巾はそれほど大きな被害はありませんでしたが、それでも周りの土地が沈下した影響で、矢巾新キャンパスは配管などに約1億円の被害がありました。皆様のご子弟である4・5・6年の学生は、内丸で講義・実習を行う予定だったため大きな影響はありませんでした。
しかし、1年生、医学部・歯学部2・3年生は、ちょうど新しいキャンパスができ、移転をしている最中に災害にあいました。そのため引越し作業が止まってしまい、3年生までの矢巾キャンパスの実習室、研究室の整備が間に合わないということになり、また、全国からの新入生が、盛岡まで来る交通手段がないという問題もあり、入学式が連休直前の4月末になりました。連休明けから新学期をスタートさせることとなり、1・2・3年生にはかなりの影響が出ました。遅れて挙行された入学式ですが、文部科学省から、「出席の上、ご祝辞を申し上げたい」というお話があり、入学式には事務次官に次ぐ審議官がお出でになり、文部科学大臣のご祝辞をいただくこととなりました。
矢巾キャンパスの北側に敷地がありますが、将来的にはここに附属病院が移転します。また現在、ドクターヘリの駐機場を準備しており、来年3月に完成、4月から運用が開始される予定です。まだ病院が移転していないため当面は発進基地方式ということで、矢巾から飛び立って患者さんのところへ行き、内丸の東警察署の上に患者さんをおろして附属病院に搬送するという方式となります。
敷地内には寮、学友会館、体育館、東と西の講義実習棟、本部棟、MRI研究施設があります。キャンパスモールが北に延伸し、北側の新敷地に造るホスピタルモールとつながります。ドクターヘリは西側のいちばん端です。来春には格納庫、医師とパイロットの控え室ができます。そして将来は病院が移転します。5年余りで、おそらく東洋一の新しいコンセプトに基づいた1000床規模の病院が誕生します。皆様方のご子弟は将来、この病院で学ぶことができますので、ご期待いただきたいと思います。
岩手県の復興基本計画では、岩手医大を中心に、連携支援として遠隔医療、地域のハブ病院、診療所、福祉施設を含め、ドクターヘリも運用しながら連携していくこととなっています。遠隔医療、拠点病院の電力などライフラインの整備・充実、災害医療の教育・人材育成など、私たちが主張してきたことが盛り込まれています。今年度中に災害医療講座を新設し、厚生労働省の地域医療支援センターと連動させて教育センターとしても機能させて、災害時医療の教育、問題点の検証、体制の構築、災害医療研修・教育について全国から受け入れするなどを考えています。
今回の矢巾移転後は、学部ごとに分かれていた講座を横断した統合講座にするというコンセプトで、日本の大学では初めての試みを行いました。統合基礎講座がすでに始まっています。解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学など、医学部・歯学部の枠を越えて講座の統合・再編をしています。壮大な社会実験になっていると思いますし、これが将来、日本の大学のひとつのスタイルになる可能性をもっているものと思います。また、歯学部の教育・診療・研究の大改革プロジェクトが進行中です。これもまた歯学部に限らず、医学部・薬学部の改革につながっていくものと思われます。ご期待いただければと思います。
6年生のご父兄の皆様には、あっと言う間の6年間だったかと思います。大学としても、ご子弟をより良い教育と研修に結び付けていけるよう努力していきますので、皆様には大学に対して絶大なるご支援をお願いしてご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

(平成23年6月24日 盛岡グランドホテル)