
講座概要
「緩和医療」は、生命を脅かす疾患に直面した患者さんとその家族に対して、身体や心のつらさを和らげることによって、人生の質、生活の質の維持・向上を目指す医療です。
当講座では緩和ケアの源にある「人を手厚く癒す精神」を大切に、病と向き合う全ての方の希望を支える医療を目指し、診療・研究・教育を行っていきたいと考えております。
特徴的な臨床の取り組み
緩和医療学科は、岩手医科大学附属病院における緩和ケアセンターの中核を担う講座です。緩和ケアセンターは、「緩和ケア外来」「緩和ケアチーム」「緩和ケア病棟」の3つを柱として、患者さんとご家族が抱える身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛に寄り添い、質の高い全人的医療を提供しています。
なかでも緩和ケア病棟は、本学の理念を臨床と教育の場で具現化した象徴的な施設です。最後まで当院での療養を希望される患者さんやご家族の思いに応えるとともに、岩手県内外の医療機関や在宅医療との連携を通じて、地域における緩和医療の充実にも貢献しています。
また、本学は医学部・歯学部・薬学部・看護学部の4学部を擁する医療系総合大学であり、緩和ケア病棟は、多職種が協働して実践する全人的医療を学生や研修医、医療従事者が学ぶ貴重な教育の場でもあります。患者さんやご家族との関わりを通して、「生と死に向き合う医療」の本質を学び、豊かな人間性と高い倫理観を備えた医療人の育成に取り組んでいます。
2019年の新病院開院と緩和ケア病棟開設以来、2026年3月末までに1,500人を超える患者さんにご利用いただきました。平均在棟日数は27.0日であり、退院患者さんの92.6%が死亡退院であることから、多くの患者さんの人生の最終段階に寄り添う医療を提供しています。また、ご遺族からは多くの温かいお言葉をいただいており、患者さんやご家族が穏やかでその人らしい時間を過ごせるよう支援できたことを、私たちにとって何よりの励みとしています。
これからも、一人ひとりの価値観や人生観を尊重し、「全人的苦痛」の軽減を目指した質の高い緩和ケアを提供するとともに、診療・教育・研究を有機的に結び付けながら、岩手県、そして東北地域の緩和医療を牽引する拠点として、その発展に貢献してまいります。
教授挨拶

緩和ケアとは、がんをはじめとする重い病を抱える患者さんや、ご家族一人一人の身体や心のつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケアです。こうした取り組みは病の最終段階にのみ行われるものではなく、現在では、疾患の時期よらず提供されるべき医療・ケアであると考えられています。
本学では2007年に活動を開始した緩和ケアチームを礎として、研究、教育の推進を目指し2014年1月に緩和医療学科を開設しました。さらに当科が中心となり、2018年には「緩和ケア外来」、「緩和ケア病棟」、「緩和ケアリンクナース」の機能を統合した「緩和ケアセンター」を設立し、切れ目のない緩和ケアの提供を目指して日々活動しています。
こうした緩和ケアの実践には、多くの専門医療者の協力が不可欠ですが、当院では、がん治療に精通した医師、麻酔科医師、精神科医師、専門・認定看護師に加えて、放射線科医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、リハビリテーション、公認心理師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーをはじめ、多くの医療者が有機的に協働して緩和ケアを提供しています。特に緩和ケアに関連する専門・認定看護師数は14名と日本トップクラスを誇り、緩和ケアチームや緩和ケア病棟のみならず、ほぼすべてのがん治療病棟に緩和ケアに精通した看護師が所属することで、がん治療と並行して専門性の高い緩和ケアが提供できる環境が整っています。
また、医学教育の観点からも緩和ケアについての学びは不可欠であるとの考えから、患者さんやご家族を全人的な視点から捉える姿勢を育むために、緩和ケアチーム活動や緩和ケア病棟実習を通じた学生教育、研修体制を整備し、本学の学是である「誠の医療人」の育成を行なっています。
今後も本学・当院のみならず地域全体の緩和ケアの更なる普及発展を目指し、各医療機関、教育機関と力を合わせて緩和ケアの質の向上、地域連携の充実に向けて進んで参ります。
関係各位のさらなるご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
講座スタッフ
| 教授 | 木村 祐輔 | きむら ゆうすけ |
| 講師 | 鴻巣 正史 | こうのす まさふみ |
| 助教 | 中村 聖華 | なかむら せいか |
講座における主たる研究テーマ
- がん疼痛に対する新たな鎮痛方法の開発
- がん性腹膜炎への症状緩和に関する研究
- 家族ケアに関する研究
- 小児がん患者の支援に関する研究
- 地域コミュニティにおける緩和ケア提供体制に関する研究
- 肺癌の治療学



