
講座概要
小児歯科は、子どもの口とその周囲を健全に育成することを目的とした歯科の一分野で、これを障害する疾患や異常の予防と治療法を修得する臨床科目です。障害者(児)歯科は、重度の知的能力障害、自閉スペクトラム症、脳性麻痺、てんかん、各種先天性の症候群などによって通常設備の診療所において歯科医療を受けるのが難しい患者のための臨床科目です。
特徴的な臨床の取り組み
小児歯科では、岩手県内や北東北のお子さんが受診されます。かかりつけ歯科医院より紹介をされ受診される方が大多数です。遠方から通院されている方も数多くいるなかで、通院がお子さんやご家族にできるだけ負担がないように、虫歯治療に関しては治療の回数をできるだけ少なくできるよう取り組んでいます。また、障がいがあり歯科医院に通院できないお子さんなどの受診も積極的に受け入れています。障がいのあるお子さんに対しては、歯科治療以外に歯科医院に慣れるためのトレーニングも行い、地域歯科医院にて健診などが受療できるように手助けを行っています。
障害者歯科では、毎週木曜日に矢巾の附属病院において全身麻酔下歯科治療を実施しています。入院期間は2泊3日とし、障害特性や全身状態に応じて、精神神経科病棟や一般病棟の個室など適切な病棟を選択しています。全身麻酔下歯科治療では、障害者歯科医師に加え口腔外科医も治療に参加し、病態に応じてむし歯治療から抜歯までを一度の全身麻酔下で包括的に行っています。多職種・多診療科が連携し、安全かつ効率的な歯科治療を提供していることが、本診療の特徴です。
分野から
「The child is not a little man.」子どもは大人を小さくしたものではありません。つまり小児は、肉体的、精神的、生理的、機能的にも成人とは異なり成長発育過程の中にあることを常に認識しなければなりません。小児歯科では、このような成長発育過程にある小児を対象とし、その顎口腔領域の形態的および機能的な発育に関与することによって、全身の発育と保健に寄与することを目指しています。
障害者(児)歯科では、歯科治療や予防処置を行う際、通常の方法ではできない場合が少なくありません。私達は医学・歯学の知識をひろく用いながら、歯科診療にいろいろ工夫を加えることにより、よりよい患者(児)の口腔状態、ひいては全身状態を目指しています。また、障害者(児)歯科医療に携わることによって得られた知識を、逆に医学・歯学に還元できるのではないかと期待しています。
治療に関しましては、特に歯科治療が苦手な子どもたち(歯科治療不協力児、障害児)への対応に力を入れております。日常臨床において歯科医院への来院や受診を嫌がる子どもたちをよく見かけます。その原因として、患児が低年齢であること、過去の歯科治療で恐怖経験があること、からだや心の発達の遅れがあることなどが考えられます。そのような歯科治療が苦手な子どもたちに対して、その患児の歯科治療に対する受け入れ状態から、治療方法を行動療法的アプローチと薬理学的アプローチに分類しております。行動療法的アプローチでは行動変容法や構造化プログラムを応用し、薬理学的アプローチでは全身麻酔法で患者(児)の障害の特徴を理解した上で安全かつ、その患者(児)に最も適した対応法の選択をしております。
講座スタッフ
| 准教授 | 熊谷 美保 | くまがい みほ |
| 講師 | 齊藤 桂子 | さいとう けいこ |
| 助教 | 磯部 可奈子 | いそべ かなこ |
| 助教(任期付) | 松尾 小百合 | まつお さゆり |
| 助手(任期付) | 齋藤 貴裕 | さいとう たかひろ |
| 大学院生 | 杉内 瑛 | すぎうち あきら |
講座における主たる研究テーマ
- 小児期の口腔疾病に関連する口腔細菌叢の解析
- 在宅看護でのオーラルリテラシーを向上させる新たな口腔衛生教育ツール開発
- 歯学部学生に対する小児歯科学教育方法の検証
- 小児の口唇閉鎖力、舌圧と顎顔面形態との関連
- 歯科治療不協力児、障害児への対応法
- 持ち運び可能な小型とろみ食品粘度計の開発
- 障害者施設での嚥下スクリーニングを視野に入れた非侵襲的嚥下評価システムの開発
講座の主な業績
【令和4(2022)年度】
- Arai H, Inaba A, Ikezaki S, Kumakami-Sakano M, Azumane M, Ohshima H, Morikawa M, Harada H, Otsu K: Energy metabolic shift contributes to the phenotype modulation of maturation stage ameloblasts. Frontiers in Physiology,13:1062042,2022
【令和3(2021)年度】
- Akira Inaba, Hidemitsu Harada, Shojiro Ikezaki, Mika Kumakami-Sakano, Haruno Arai, Marii Azumane, Hayato Ohshima, Kazumasa Morikawa, Kuniyuki Kano, Junken Aoki, Keishi Otsu : LPA6-RhoA signals regulate junctional complexes for polarity and morphology establishment of maturation stage ameloblasts, Journal of Oral Biosciences 64(1) 85-92, 2022.3



