歯科補綴学講座 有床義歯・口腔リハビリテーション学分野

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講座概要

当分野は、歯を失ったことによる「噛めない」「話しにくい」「見た目が気になる」といった問題に対し、入れ歯などの補綴治療によって口腔の形態を回復するとともに、咀嚼や嚥下などの口腔機能を評価し、その回復・維持を図る治療やリハビリテーションを行う分野です。診療では、義歯による形態回復に加え、噛む力、舌の力、飲み込む力などを客観的に評価し、患者さん一人ひとりの状態や生活背景に応じた治療を行います。また、高齢者や全身疾患を有する方には、多職種と連携し、安全に口から食べ続けるための支援を行っています。さらに、口腔機能を良好に保ち、十分な栄養を摂取できる状態を維持することを通じて、フレイルやサルコペニア、全身状態の悪化を防ぐことも大切な役割と考えています。教育では有床義歯、高齢者歯科、摂食嚥下、訪問歯科診療などを担当しています。研究では、義歯治療や口腔機能の評価・回復、健康長寿との関係を明らかにし、より良い診療へ還元することを目指しています。

特徴的な臨床の取り組み

当分野の特徴は、歯や口腔の「形態」と「機能」を一体として捉え、予防から治療、リハビリテーション、継続的な管理までを一貫して行うことです。歯を失うと、噛みにくさだけでなく、発音や見た目、食べられる食品の種類にも影響します。また、加齢や病気により、噛む力、舌の力、飲み込む力が徐々に低下することがあります。「硬いものが食べにくい」「食べこぼす」「むせる」「滑舌が悪くなった」といった変化は、オーラルフレイルや口腔機能低下のサインかもしれません。当分野では、義歯などによる形態回復に加え、咀嚼機能、咬合力、舌圧、嚥下機能などを客観的に評価し、治療や口腔リハビリテーションを行い、咀嚼から嚥下まで形態と機能の両面から一貫した治療を行います。さらに、よく噛んで多様な食品を摂取できる状態を維持することで、低栄養やフレイル、サルコペニアの予防にもつなげます。北東北における補綴治療・口腔機能回復医療の拠点として、「食べる」「話す」「笑う」を支え、地域の健康寿命の延伸を目指しています。

教授挨拶

小林 琢也
小林 琢也 教授

人生100年時代を迎え、歯科医療には、歯を治すだけでなく、生涯にわたり「食べる」「話す」「笑う」を支える役割が求められています。私たちは「一生、自分の口で楽しく食べる」ことを基本理念に、歯を失った方には義歯などの補綴治療によって口腔の形態を回復し、「噛む」「飲み込む」「話す」といった機能の回復と維持までを総合的に支えています。しっかり噛めることは、食事の選択肢を広げ、必要な栄養をバランスよく摂取するための大切な基盤です。口腔の形態と機能を良好に保つことは、低栄養を防ぎ、フレイルやサルコペニアの予防、さらには全身疾患の発症や増悪リスクの低減にもつながると考えています。そのため私たちは、症状が生じてから治療するだけでなく、早期の機能低下を捉え、予防から治療、リハビリテーション、継続的な管理まで切れ目なく支えることを大切にしています。診療、研究、教育を通じて、岩手・北東北の皆さまの健康寿命の延伸に貢献してまいります。

講座スタッフ

教授小林 琢也こばやし たくや
講師佐藤 宏明さとう ひろあき
助教金子 千洋かねこ ちひろ
助教島田 崇史しまだ たかふみ
助教菅原 志帆すがわら しほ
助教原 総一朗はら そういちろう
助教米澤 悠よねざわ ゆう
助教(任期付)伊藤 凌いとう りょう
助手(任期付)熊谷 伸太郎くまがい しんたろう
助手(任期付)櫻田 北斗さくらだ ほくと
助手(任期付)高杉 采伽たかすぎ あやか
助手(任期付)村川 ゆり子むらかわ ゆりこ
研究員道又 俊みちまた しゅん
研究員村上 智彦むらかみ ともひこ

講座における主たる研究テーマ

  • ナショナルデータベースを用いた有床義歯需要の検討
  • 相同モデルを用いた全部床義歯の三次元的形態解析
  • デジタル技術を応用した義歯製作に関する研究
  • 異なる方法で製作した床用材料と人工歯との結合性評価
  • 唾液中の活性型Substance P濃度の低下が嚥下機能の低下に及ぼす影響
  • 構造化照明式3Dスキャン技術を用いた口腔機能評価モデルの有用性検証
  • 要介護高齢者に対応した義歯清掃法の検討
  • 嚥下障害患者における舌圧と摂食嚥下機能の関係
  • 舌抵抗訓練の頻度・期間・継続性が嚥下機能に及ぼす影響の解明とプロトコルの確立
  • パラファンクションによるCAD/CAM冠の咬耗についての前向き研究
  • サージカルガイドとダイナミックナビゲーションシステムの精度の比較

講座の主な業績

  1. Kaneko C, Sawada T, Ishikawa T, Miura T, Kobayashi T, Takemoto S: Effectiveness of Ozone Treatment, Ultrasonic Treatment, and Ultraviolet Irradiation in Removing Candida albicans Adhered to Acrylic Resins Fabricated by Different Manufacturing Methods. Materials (Basel). 2026;19(1):53. doi:10.3390/ma19010053.
  1. Shimada T, Shimoyama Y, Ishikawa T, Kobayashi T: Evaluation of Association between Substance P Concentration, Dipeptidyl Peptidase 4 Activity in Saliva and Oropharyngeal Dysphagia: A Pilot Study. 岩手医科大学歯学会誌.49: 1-13(2024).
  1. John D Da Silva, Shy Chwen Ni, Cliff Lee, Hawazin Elani, Kailing Ho, Carlos Thomas, Yukinori Kuwajima, Yoshiki Ishida, Takuya Kobayashi, Shigemi Ishikawa-Nagai.:Association between cognitive health and masticatory conditions: a descriptive study of the national database of the universal healthcare system in Japan / Aging. 19(13): 7943-7952 (2021)
  2. Nakasato A, Kobayashi T, Kubota M, Yamashita F, Nakaya T, Sasaki M, Kihara H, Kondo H : Increase in masseter muscle activity by newly fabricated complete dentures improved brain function. / J Prosthodont Res. 65(4): 482-488 (2021)