Home>医師派遣機能強化事業

事業終了について

医師派遣機能強化事業につきましては、平成27年度をもちまして事業終了いたしました。

目的

岩手医科大学では、3年前の東日本大震災津波以降、今日まで岩手県沿岸部被災地医療機関への医療支援を担って参りましたが、依然として被災地医療機関では医師不足の状況が続いております。

このことから、医師派遣機能強化を図ることを目的として、文部科学省補助金「大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業」を活用して、全国から医師を招聘し、岩手医科大学教育職員として沿岸部被災地医療機関の支援を行います。

募集要項
応募条件 (1)原則として3ヶ月以上、岩手医科大学及び被災地医療機関で勤務可能な方
    1)勤務期間の詳細につきましては、ご相談させていただきます。
    2)沿岸部被災地医療機関に赴任いただく前に、必要に応じて2週間程度の研修を
      予定しております。
(2)労働契約形態は、出向契約等ご応募いただく医師の所属されている機関との協議に
    より対応させていただきます。
給与月額 約450,000円(医師免許取得後3年目の医師の場合)
賞与 6月、12月
岩手医科大学
での職位
経歴に報じて以下の職位で採用します。
  1)准教授(経験14年以上かつ医学博士)
  2)講師(経験7年以上かつ医学博士)
  3)助教(上記以外)
・本学の規定に基づく個人研究費を支給
・岩手医科大学退職後は、必要により客員教員として委嘱させていただきます。
配属先/
勤務地
(1)ご応募いただいた医師の専門領域に応じて、本学の講座に配属いただきます。
(2)勤務いただく被災地医療機関は次のいずれかとなります。
   1)岩手県立久慈病院
   2)岩手県立宮古病院
   3)岩手県立山田病院
   4)岩手県立大槌病院
   5)岩手県立釜石病院
   6)岩手県立大船渡病院
   7)岩手県立高田病院
お問い合わせ 岩手医科大学学務部 医学部教務課 担当:
  Tel.019-651-5111(内線3223)
  Fax.019-651-8055
  e-mail:ikyomu@j.iwate-med.ac.jp
活動実績

平成27年度

派遣者 岩手医科大学臨床遺伝学科 准教授1名
派遣期間 平成27年4月20日~平成28年3月31日
派遣先 岩手県立宮古病院(小児科)
成果  被災地医療機関への派遣前に、震災当時および現在の被災地の医療状況や災害に関する講義を始め、派遣先医療機関と本学関連講座での連携を円滑にするため、本学関係講座の協力を得て研修等を行った。同医師は震災当時、本県北部に災害派遣による支援の経験があったことから本県の被害状況、医療状況等について知識があった。
 派遣医療機関である岩手県立宮古病院では、小児科にて勤務し外来診療に加え病棟回診のほか、急患診療にも対応し専門家以外の診療科の一助にもなり、被災地の医療支援に大きく貢献したと言える。
 この他、同医師は小児科専門医・指導医のほかに、臨床遺伝専門医・指導医としての資格も有しており、今回の派遣先医療機関にてダウン症外来および先天的異常外来を開設したことにより、被災地の妊産婦への心理的社会的支援に繋がっている。平成27年10月に開催された日本人類遺伝学会第60回大会で、同医師は子の取組について学術発表を行い全国へ発信した。
 また、同医師は日本DMAT隊員養成研修を受講し、DMAT隊員として資格を取得したことにより、災害時対応医療人として今後の災害派遣医療チームとしての活躍が期待されるほか、当センター主催の日本災害医療実地研修では、震災当時に派遣された本県での支援活動について講演し、受講生に対して災害・医療に関する知見を広げた。
 同医師には、次年度以降も本学にて勤務していただくことになっており、今後も被災地の医療支援や、また当センターでの各研修会などの人材育成にも協力を要請する予定である。

平成26年度

派遣者 岩手医科大学内科学講座循環器内科分野 助教1名
派遣期間 平成27年1月19日~平成27年3月31日
派遣先 岩手県立山田病院仮設診療所(内科)
成果  岩手県立山田病院仮設診療所への派遣に際し、約2週間の学内研修を実施した。同医師は、医師免許取得後15年且つ東日本大震災時は、宮城県塩釜。多賀城地区の医療支援を行った経験があったことから、震災当時の岩手県の医療支援活動について講義を行った。また、PFA研修に参加し、被災者との接し方を学ぶことで、派遣機関および災害時における医療支援活動に必要となる「こころのケア」のスキル習得を図った。その他、循環器内科の検査、治療見学定例カンファランスに参加することで、本学との医療連携体制の整備を図った。
 学内研修後に岩手県立山田病院仮設診療所への医療派遣を開始した。同機関は兵庫からの応援医師が3月で引き揚げ、派遣当時常勤医師2名体制で診療を行っていた。また、震災前は1日約120名であった外来患者数が震災後は1日約90名まで現象していた。
 派遣後の患者数は、現状維持ではあったものの、同医師が勤務したことで、火曜日と金曜日の内科診療は休診であったが、毎日診療を行える体制を整備することができ、安定した医療の提供につながった。また、常勤医師2名の負担が軽減したことで、同機関に来院することのできない患者に対し、常勤医師2名が継続して在宅医療を行う環境が整備できた。このことは、被災地の医療復興に大きく貢献できたと言える。