◆新訂増補和蘭藥鏡 (シンテイ ゾウホ オランダ ヤッキョウ)
  宇田川榛齋著
   本学所蔵は初篇(巻1-3)、二篇(巻4-6)、四篇(10-12巻)、五篇(13-15巻)


  1820年に刊行された「和蘭薬鏡(全3巻)」の増訂版で、全18巻からなる薬学書である。 本書は、桂、橙、薑等、和漢薬としてもみられる同属植物を基原とする洋方植物を説明、形状や製法、洋方医学上に必要な効能、用法用量等を、病気の症状を合わせて記載している。 宇田川家は、榛齋の父、玄随の代から専門としていた西洋内科を『西説内科撰要』において初めて日本に紹介したが、医師たちは治療に用いる薬の知識が乏しかった。そこで、玄随は薬学研究の必要性を感じ、研究を進めていたが、志半ばで亡くなったため榛齋が遺志を継ぎ、榕菴とともにまとめたものが、「和蘭薬鏡」、「和蘭薬鏡 新訂増補版」である。

参考
日本学士院編(1978):明治前 日本医学誌第三巻 増訂復刻版
津山洋学資料館HP:洋学博覧漫筆Vol.10 「和蘭薬鏡」と「遠西医方名物考」(2018.07.03現在)
日本薬史学会事務局 薬史学会通信 No.15 (1992)
「蘭学の勃興ー宇田川家と薬物書」宗田 一