◆無冤録述
  河合甚兵衛源尚久識:卷之上・下
  嘉永7[1854]



  『無冤録述』とは江戸時代の検死書であり、日本で最初の法医学書である。 元々は『無冤録』として1308年に元朝で編纂され、朝鮮を経て1736年に河合尚久によって日本で翻訳された。
  本書は上巻と下巻に分かれており、上巻には身体の部位の名称や検死にあたっての心構えや注意点など、下巻には31の死因とその特徴、検死法が記載されている。
  心構えとしては、現場の検分や聞き込み、凶器発見の重要性、あるいは判断を惑わされないように気をつけるべきことなどが細かく記載されている。また、死因の説明では、死体に見られる特徴を分析し、死亡時間を推定するように記されている。当時、捜査に当たっていた与力や同心はこれを参考にしていた。


参考文献
大江戸まるわかり事典, 大石学編, 時事通信出版局, 2005
江戸時代の検視テキスト http://web.sanin.jp/p/sousen/1/3/1/14/9/