◆養性訣 <上,下巻>
平野元良(櫻寧室主人)[著];大西椿年 [画] ; 櫻寧室, 天保6(1835)

  『養生訣』は、日常生活における呼吸法など、長生きの奥義を記している。 養生とは肉体ならびに精神の安定をはかることによって健康を保ち、日頃から病を寄せ付けないような体を維持することである。 江戸後期は、身体をいたわり長生きするための方法を記した養生書が多く出版され、庶民の健康管理への関心が高まっていた。 日常生活に留意して健康の増進をはかることは、今日の予防医学に通じるものがある。
平野元良(1790-1867)は江戸後期の町医者で、著作には日本最古の家庭看護必携である『病家須知』や凶年後の養生を記した『玉の卯(う)槌(づち)』などがある。 元良は剣の名人でもあり、練丹術(体気を丹田(臍(へそ)の下三寸)に凝集する修練法)を養生に応用した。 本書の附言に、「先に私が著した病家須知では、飲食、呼吸、心意などを調えればさまざまな病気を除き、身体は壮健となり、知恵勇気も増大することを述べたが、 これを疑う者があり詰問されたため、それに答えるためにこの小冊子を記した」とある。養生訣では、丹田を意識した呼吸について詳しく述べている。

参考文献
『江戸に学ぶからだと養生』伊藤恭子編, 内藤記念くすり博物館, 2009


◆縛帯圖説
中嶋玄覺著、阿部玄定,羽山貫齋同校.青木義之, [書写年不明]

  全身各部位に対する包帯の巻き方を図で示した書物である。