◆傷寒論
張仲景著 ; 王叔和撰次. -- 順受居, 正徳5[1715]

◆集註傷寒論 <10巻>
(漢)張仲景著 ; (晋)王叔和撰次 ; (宋)成無巳註解 ; (宋)林億校正 ; (明)趙開美校句 ; (明)沈琳仝校 ; (清) 張卿子參, -- 聖濟堂, 寛文8[1668].


『傷寒論』は、中国の張仲景が著した漢方医学の古典書である。 張仲景は、後漢の霊帝に仕えて長沙太守(政治家)となったが、2世紀末に猛威をふるった傷寒(急性熱性感染症)で一族の半数以上を失った。 その後、同郷の医者から医術を学び、その病気から人々を救うために本書を著したといわれ、本書は急性の熱病を識別し治療する方法を記している。 張仲景は他にも『金匱玉函要略』ほか多くの医学書を著した。
漢方では個々の病に名称を付けず、“発熱する”病気を総称して“傷寒”とした。 隋・唐時代の医学書にも「今夫熱病者皆傷寒之類也」(発熱の病はどれも傷寒の類に属する)と記載されている。
日本にも5世紀頃、朝鮮半島を経由して漢方医学が入っていたと考えられている。 日本最古の医学書『医心方』(永観2年(984)丹波康頼撰上)にも傷寒に関する章が多くあり、その治療法は『傷寒論』をふまえている。  現代、狭義の傷寒はチフスに同定されているが、医心方では「豌豆(エンドウ)瘡(ソウ)」(発疹の形がエンドウ豆状のため)と記されている。天然痘や麻疹(はしか)も傷寒に分類されていたことが分かる。



◆傷寒六書
利光仙庵校鐫;馬場貞由鐸,須原屋伊八,安政2年(1855)刊 [明]陶華撰, -- 道伴, 寛永7 [1630]


『傷寒六書』は、陶華の『傷寒論』研究および傷寒の治療に関する著作6種をまとめた全集である。 明代中期からの再度の『傷寒論』ブームに先鞭をつけたものといえる。 本書は本来、家伝の書で刊行を前提としていないため、各書目の内容は重複している。

<各書目の内容>
  巻之一『傷寒家秘論』―― 前半が傷寒瑣言、後半が傷寒明理続論を増補した内容
  巻之二『明(メイ)理(リ)続論(ゾクロン)』―― 総論と『傷寒論』に記載の症状に関する意味や病理・治療を記す各論
  巻之三『傷寒瑣(サ)言(ゲン)』―― 傷寒に関する医論や脈論・口伝・常用処方など
  巻之四『殺車(サッシャ)槌法(スイホウ)』―― 傷寒治療の口伝、修治(薬草を加工調整すること)、附子・大黄・麻黄の過誤に対する治療法など
  巻之五『一堤(イッテイ)金(キン)啓蒙(ケイモウ)』―― 陶華の傷寒治療の要約を略述した内容
  巻之六『証脈(ショウミャク)截(セッ)江網(コウモウ)』―― 傷寒に関する医論や診断・用薬法の口伝と婦人の傷寒の治療法など
 ※巻之六は所蔵なし
 


  参考文献
医心方 / 丹波康頼撰;槇佐知子全訳精解;巻14, 筑摩書房,1998(WZ70/I79/14)
真柳誠「傷寒六書」解題 http://mayanagi.hum.ibaraki.ac.jp/paper01/rikusho.html [accessed 2012-05-22]