ホーム >学長メッセージ

【学長メッセージ】東北地方太平洋沖地震について(第2報)



 東北地方太平洋沖地震に関する第一報のメッセージを先日HP上に公表いたしました。
  しかし、事態は時々刻々変わってきております。基幹災害拠点病院として県と連携し、全県のセンターとして活動している岩手医科大学から、近況をお伝えします。
  前回、救命救急医療から、避難所における慢性疾患治療、健康管理、衛生管理による二次災害予防に移っている事を指摘しました。一方、支援物資は到着しているにもかかわらず、避難所への搬送が遅れており、孤立している避難所では一つのおにぎりを4人で分け合っている程切迫した状況で、各避難所への食料供給にも問題が山積です。
 本学は複数の「避難所診療チーム」を、被災地に近く被害が少なかった遠野市(福祉の里)に「避難所診療の基地」を置き、宮古市以南の、壊滅的打撃を受けた地域に送っています。800~900名の大きな避難所では200名を超える患者さんが殺到している状況です。現在、本県では約5万人の被災者が375か所の避難所に避難しています。(県対策本部調べ16日現在)しかし、詳細不明の避難所、被災者がその他多く存在している状況です。
 また、気仙地方の基幹中核病院である「県立大船渡病院」では、圏域の陸前高田、大船渡の町はほぼ全壊し、市内の診療所機能は停止、医療供給は高台にあり被害が少なかった県立大船渡病院のみに頼っています。しかし病院職員は帰る家もなく、病院での寝泊まりを余儀なくされています。食料も枯渇し最低限のもので維持せざるを得ない状況です。疲労も極限に差し掛かっています。
 食糧など緊急支援物資は倉庫までは届いています。医薬品、医療材料も不足していますが、緊急に必要な物品は1にも2にも「ガソリン」です。「避難所への医療チーム」の移動にも「沿岸病院医療体制維持のための医師」派遣にも、病院機能維持のための職員移動にもガソリンが必要です。避難所、沿岸被災地の基幹病院への食糧、医薬品、医療材料輸送もガソリン不足によりままならない状態です。
 このような状況を勘案し、被災後早期から「ガソリン」等エネルギー供給について関係省庁を通じて強く要望してきました。海江田経済産業大臣は石油備蓄の放出を14日夕方臨時会見で明言しました。その後3日も経過したにもかかわらず、被災地のエネルギー供給は改善しておりません。何故このような理不尽な状態が発生するのか全く理解できません。
 もう一点極めて重要なことは、避難所や各病院との連絡が取れないことです。情報不足のため、必要な物品、人員が適切に配備出来ないことが復興を大きく妨げています。早急に電話等通信の回復を強く望みます。
 現在の被災地の状況は「戦場」です。数時間の遅れは、避難所の被災者の命にかかわる大問題です。事実最悪の事態も起こっております。「平時」ではありません。現場の悲鳴に耳を傾けず、ただ時間だけを経過させるのであれば、国民の命は守れません。
 このような中で、私から、必要物資の確保を県知事に対し強く申し入れました。その結果、知事から、3月17日、国の災害対策本部宛て必要物資の早急な提供を要望したところであり、国の速やかなる対応を強く期待しております。
 政府には、更なる迅速な対応を切にお願い申し上げます。


                                                   平成23年3月17日 
                                                     岩手医科大学 学長  小川 彰