機能生化学講座
生化学は、くすりが効くメカニズムを理解する上で欠かせない学問です。くすりが効くメカニズムとは、私たちの体の中で、くすりがどんな生体分子にどうはたらきかけるのか、ということです。生化学では、私たちの体の仕組みを分子レベルで学びます。どんな生体分子がどんな役割を持っているのかを知ることで、くすりの作用をミクロのレベルで理解できるようになります。また、疾患に関わる生体分子を同定することで、その分子を標的とした創薬にもつながります。
教授からのひとこと
機能生化学講座では、骨代謝やインスリンの分泌において重要な役割を果たしている「プロトンポンプ」という生体分子に注目して研究を進めています。プロトンポンプは、ATPを加水分解するときに得られるエネルギーを利用してプロトン(水素イオン)を輸送し、生体内の様々な酸性環境を形成する酵素です。酵素の一分子観察といった最新のナノテクノロジーや、遺伝子改変マウスなどのバイオテクノロジーを用いて、プロトンポンプの役割とはたらく仕組みを解明し、骨粗鬆症や糖尿病の新規治療法の開発につなげたいと考えています。また、プロトンポンプの中には、虫歯菌や歯周病菌の増殖において重要な役割を果たしているものがあります。そこで、細菌のプロトンポンプを標的とした抗菌剤の探索も進めています。
研究を通して人に役立つ発見をすることは、ワクワクする愉しいことです。研究に興味のある学生の皆さん、医療の進歩につながる発見を目指して、ぜひ一緒にチャレンジしましょう。
<講座スタッフ>
中西 真弓 教授
關谷 瑞樹 助教
後藤 奈緒美 助教
講座の基本理念
機能生化学講座では、プロトンポンプが関与する骨代謝やインスリン分泌、細菌の増殖に関する基礎研究により、医療の発展に貢献することを目的としている。さらに、こうした研究活動を通して、論理的な思考、問題解決能力、計画し実行する力、コミュニケーション能力を身につけ、医療活動に主体的に取組むことのできる人材の育成を目指している。
主な研究テーマ
- 骨代謝やインスリン分泌におけるプロトンポンプの機能
- プロトンポンプの一分子観察による作動機構の解析
- プロトンポンプを標的とした抗菌剤の探索
- 歯の形成や唾液分泌、神経伝達物質の分泌におけるプロトンポンプの機能