教育
HOME > 教育 > 学部紹介 > 構造生物薬学講座

構造生物薬学講座

生体内で起こっている現象を理解するためには、タンパク質をはじめとする生体物質の三次元構造に関する情報を得ることが不可欠です。個々の原子を区別できるほど詳細な生体物質の全体像を知る最も一般的な方法は、X線結晶構造解析を行うことです。一方、溶液構造を知る手段としては、核磁気共鳴分光法(NMR)とX線溶液散乱法とが優れています。これらの手法の原理と、ゲノム情報および立体構造に基づいた医薬品の開発/創薬のための基礎知識を学んでいきます。

教授からのひとこと

野中孝昌 教授

野中孝昌 教授

人間の体内に入った薬が、どこに、どのように結合するのか、見てみたいと思いませんか? 薬剤の多くがタンパク質に結合します。DNAにも結合します。そこはナノメートルより1桁小さな原子の世界です。私たちと一緒に覗いてみましょう。
病気の発症および進行、あるいは診断および治療に関連する基本的な生物学的過程の解明にとって、タンパク質をはじめとする生体物質の基礎研究は必須です。特に、タンパク質の立体構造から得られる情報は、医薬品の開発、改良、および製造において極めて重要です。当講座では、タンパク質の発現、精製、結晶化、X線結晶構造解析、X線溶液構造解析、およびNMR構造解析に必要な基礎的な技術と、得られた立体構造から可能な限りの情報を引き出すための技能(ホモロジーモデリング、リガンド・ドッキング、バイオインフォマティクス等)を養い、立体構造に基づく新薬のデザイン手法を学習することを目標とします。

講座の基本理念

構造は科学の基礎であり、生命の原理を知る上での重要な手がかりとなります。構造とそこから導かれる物性は、医薬品開発の基礎ともなります。生体内に多数・多種類存在し様々な生理機能を担っているタンパク質の構造と機能の相関を解明することは、医薬品開発のみならず、生命活動の理解の点でも重要な鍵を握っています。当講座では、広い範囲の基礎知識とその応用力を重視します。

主な研究内容

  1. 歯周病原細菌の揮発性硫化物産生機構の解明とその制御
  2. 多剤耐性菌・歯周病菌に対する新規抗菌薬の探索・開発
  3. 歯周病菌由来毒素タンパク質の細胞障害分子機構の解明
  4. 日本実験棟「きぼう」でのタンパク質結晶化
  5. 歯周病原細菌 Porphyromonas gingivalis の酪酸合成に関与する酵素群の構造解析
  6. マルチドメイン(モジュラー)キチナーゼの構造および機能解析