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エナメル質を作る細胞の生成に関する新しい仕組みを発見しました

エナメル質は歯の表面を覆う人体で最も硬い組織であり、食事の摂取や咀嚼はもちろん、外部刺激から歯髄(歯の神経が通っている部分)を保護する役割も担っています。解剖学講座 発生生物・再生医学分野の研究チームでは、このエナメル質をつくる細胞(エナメル芽細胞)がどのようにして生まれてくるのか、その新しい仕組みを発見しました。

今回の研究では、エナメル芽細胞を作り出す新たな機構としてSemaphorin(セマフォリン)4D-RhoA-Akt経路を発見し、その成果をJournal of Bone and Mineral Researchに報告しました。Semaphorinファミリータンパクはもともと、神経が伸びる方向や長さを決める役割を持つタンパクとして知られていましたが、私たちはその中のひとつSemaphorin 4Dがエナメル芽細胞の分化を促進させることを見出しました。さらに、その経路の下流にはRhoA, Aktと呼ばれる分子が存在し、エナメル質を作るのに必要なタンパクの産生や分泌方向の決定にかかわっていることがわかりました。

本研究の結果は、いままで知られていなかった新しいSemaphorinタンパクの生理的機能を発見したことに加え、Semaphorin4D-RhoA-Akt経路を薬剤や遺伝子操作で制御することで、エナメル芽細胞分化を人為的にコントロールできる可能性を示しました。このことは、iPS細胞を使ったエナメル質再生や、エナメル質形成不全症(エナメル質が正常に作られない先天性疾患)などに対する新たな治療法の開発に役立つと期待されます。

 

(研究内容の問い合わせ先)

解剖学講座 発生生物・再生医学分野

講師 大津 圭史

電話:019-651-5111(内線5881)

メール:kotsu@iwate-med.ac.jp